医療者向けセミナー
2019年5月25日
見て見ぬふりする職員の本心
利用者の異常に気付くと仕事が増えるから、気づかないフリしとけって思う職員がいるよ、という話です。

基本的に、介護の業務は、流れ作業でやる方が考えなくていいから、楽だ、という人がいます。
特にユニットケアが目指すような、利用者目線で、利用者のペースに合わせた生活というのが いちばん、めんどくさいのです。考えるのがめんどくさい人にとっては。

だから、流れ作業的な仕事になるのです。
そして、その流れ作業から早く解放されるためには、早く作業をすすめるのです。
だから、作業の速い人が優秀とされて、利用者のペースに合わせたい人は、できないヤツとなるのです。

ほとんどの現場はこれが現実です。
だから悪い、ということが言いたいのではなくて、その現場がそれを選んでるんですよね、ということです。

こういう現場は、やることが多いので、まずは決まったことをこなすことが重要となります。
記録や、イレギュラーなコール対応、利用者とのコミュニケーションは、できたら避けたいことになります。
多少、罪の意識がある人は、新人に利用者とのコミュニケーションをやらせます。
そして、先輩方は雑用や業務に忙しくなるから、新人は、利用者との対話は下っ端の仕事だと勘違いします。
『おれもいつか、先輩のように雑用をこなしてみんなの役に立ちたいぜ!』となるわけです。

そして業務優先で忙しくなった介護施設のいちばんの問題は、利用者の変化に気づいたらめんどくさいことになる、ということです。
・いつもと違う様子がある
・利用者の皮膚の炎症がある、剥離とか。
・たまたま部屋の前を通りかかったら利用者が転倒していた

もうこうなったら、めんどくさいことが始まります。
業務を後回しにして、ナースに連絡して、記録書いて、ヒヤリハット書いて。。。
しばらくするとリーダーが出てきて、『あのヒヤリハットじゃわかんないから書き直して!』とか
よくわかんないことまで事情聴取されて、書き直しのために残業して。
早く帰りたいのに。

なので、めんどくさいことをしたくない職員は、必殺技を使います。
『気づかないフリ』です。
転倒した利用者が視界に入っても、見て見ぬふりをしておくと、後から来たまじめな職員が対応してくれます。

そして必ず、『なんで気づかなかったの!?』と言われても、『いやー俺の時は大丈夫だったんですけどねー』と言って逃げとけば、 まーしょーがないか、ということで、早く帰れます。

もし、介護を良くしたいと思うならば、この価値観をなんとかせねばらなんのです。
この現実をしっかり認めて、ここと向き合うことが、本当の意味の良い介護になるのではないでしょうかね。

まず、いちいち書き直ししなきゃいけないようなヒヤリハット用紙をなんとかしろ。
そして、書き直しさせて、優越感に浸ってるリーダーもなんとかしろ!
だから現場のやる気がなくなるんですけどね!

うっしっし

知野吉和

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